第3部


第6章

 辺りがまだ暗く凍てつくような寒さの中カイは何かがしむ音で目を覚ました。
「・・・?」
ふとグレンが寝ているはずのベットを見るとベットはもぬけの殻だった。またきしむ音が聞こえた。音がするほうを見ると寝る前に閉めたはずのドアが隙間風で
動いていた。窓の外から話声が聞こえたのでカイは足音を立てないよう気をつけながら窓のそばによった。外では顔をすっぽり隠せるほどのフードの着いた白く
長い修道服を着た男とグレンが話していた。
「・・・ではあくまで受けた依頼をやめる気はないのだな・・・いや、今日のところは何もせん。だがいずれおまえを殺すよう命令が下るだろう。その時は全力
を持ってお前を殺す。・・・そろそろ時間だな」
そう言って男は地面に吸い込まれるように消えた。カイは男が消える直前フードの奥からギロリと睨まれ立ちすくんでいた。振り向いたグレンに先ほどの出来事
を見ていたのに気付き術を解かれるまで立ちすくんでいた。

第7章

  襲撃を受けてから二日後、アールが旅をすることが出来る状態まで回復したとサポーター〔村に着たとき初めにあった魔導師〕から連絡があった。
「ふむ、ではすぐに旅仕度を整えて村の門の前に来るよういってくれ」
パイプをふかしながならゲインはサポーターに言った。サポーターが出ていった後ゲインはこの村に残るとカイとグレンに告げた。
「どういうつもりなんですか師匠」
カイは呆れたような口調で尋ねた。
「どうせまたこの村にいた可愛い女を追っ掛け回したいだけなんでしょう」
ぎくりとしながら
「ふ、ふざけるな!わしはただこの村がまた襲撃を受ける可能性があるから残るだけじゃ」
と、ゲインは答えた。
「でもそれもあるんだろ、なぁ、ジジイ」
笑いながらグレンがつっこんだところ図星だったらしくえらく不機嫌そうな顔をしながら
「うるさい!すこしだまってろ!」
と、叫んだ。グレンは肩をすくめながらカイにウインクし、目で部屋を出て荷造りをするよう命じた。カイは不機嫌そう不本意ながらも渋々従い部屋を出た。
それに続いてグレンも、「じゃあな、クソジジイ」と、言いながら部屋を後にした。

第8章

 カイとグレンは部屋へと戻った後お互い一言もしゃべらずに旅の荷造りをすました。
「なぁ、なんでゲインは旅に行かないんだろう」
沈黙に耐え兼ねてカイはグレンに尋ねた。
「・・・カイ、後で村外れの旧集会所へ来い」
カイの質問を丸っきり無視してグレンは一方的に命令した。
「ちょ、ちょっと待てよ!?まだ僕の質問に答えてないよ」
しかしグレンは最後まで話を聞かずに部屋を出ていってしまった。一時間後、カイは不満ながらもグレンが指定した旧集会所ヘと足を運んだ。そこで見たものは
俄かには信じがたい光景だった。広場には巨大な魔法陣が描かれており、その中心から僅かばかり離れた場所にグレンとファイヤーウォード〔グレンと契約した
封魔。漆黒の甲冑を身につけ巨大な刀を持つ〕が待っていた。
「こ、これは・・・いったい」
「今からお前の魔神契約を行うのさ」
カイの疑問に答えるかのようにグレンは答えた。
「まだ頭こんがらがってると思うけどよーく聞いとけよ。今からお前がどの程度の器かを計るための試練を言い渡すからな。今からお前には魔界へと自我だけ行
ってもらう。そこで強力な精神攻撃を発狂寸前まで受ける。それにどれだけ耐えられるかを調べ、お前と契約を交わしてもよいという魔神を探すんだ。わかった
な?じゃ、早速始めるとするか」
カイの気持ちなど歯牙にもかけずにグレンは魔法陣を発動させた。そしてカイは肉体を残して魔界へと飛ばされた。


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